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証拠保全の提示命令

証拠保全の提示命令

5週連続の証拠保全を終え、漸く一段落したのですが、このうちの一つの期日で「提示命令」というものが発令されました。

専門的な内容になりますが、今回は、この「提示命令」についての投稿です。

通常、われわれ弁護士が証拠保全の申立てを行う場合、証拠保全申立書上において次のような記載をし、検証と提示命令の双方について決定を求めます。

申 立 て の 趣 旨

1 相手方の開設に係る東京都■■区●●所在の★★病院に臨み、相手方が同所において保管する別紙検証物目録記載の各物件につき検証をする

2 相手方は、上記検証の日時、場所において、上記検証物を提示せよ

との決定を求める。

しかし、このうち、提示命令(上記2)については、申立後の裁判官面接において、裁判官から、留保してもらえないかとの打診があるのが通例で、申立人代理人弁護士もこれに応じ、留保するのが通例です。

裁判官がこのように働きかけ、弁護士がこれに応じるのは、相手方の意思を尊重する観点からして、相手方の任意に働きかけるのが望ましく、相手方が任意に提示する限り証拠保全の目的を達しうること、そして、留保しておけば、相手方が任意に応じない場合に提示を説得する材料として使えることなどによります。

そして、多くの場合、相手方が検証目的物を任意に提示するので、申立人代理人は留保していた提示命令を期日終了時に取り下げて期日が終わります。

ところが、先日、私が立ち会った証拠保全期日では、この提示命令が発出されました。

これはそれなりに珍しいことですので、以下にその経緯を紹介します。

裁判官が目録◆記載の物件(院内事故報告書の類)の存否について尋ねたところ、相手方担当者である某氏は、目録◆記載の物件は内部文書であって、この種の物件については提示しないのが当病院の見解、運用である、また、同旨の最高裁判例が存する、と応答した。

これを受けて裁判官は、少なくともあるのかないのかについては確認のうえ回答されたいと再度要請した。

某氏は、一旦退室し、(電話で)顧問弁護士に確認したうえ、やはり存否について回答しない、と言明した。

これを受けて申立人代理人は、目録◆の物件も検証物目録に記載して申立てを行っている以上、本来的に提示命令の対象になりうる、ただ実質的な検討を経て内部文書にあたると判断された場合に例外的に提示命令の対象にならないにすぎない、従って、存否についてすら回答できないという態度を維持するのであれば、留保している提示命令について、これを発出されたい、と申し出た。

裁判官も、インカメラ手続(申立人側の目に触れないように裁判官だけが内容を閲読し、提示命令の対象になるかを判断する手続)や提示命令等について説明したうえ、このままの態度を維持するのであれば提示命令を出すつもりであるとの心証を開示し、翻意を促した。

某氏は再度退室し、再度顧問弁護士に確認したうえ、やはり存否について回答しない、と言明した。

これを受けて、裁判官は目録◆記載の物件につき提示命令を発出した。なお、裁判官は、同命令発出後も、再考、翻意を促した。

大体、このような経緯で提示命令が出されましたが、相手方はこの提示命令を受けてなお提示をしませんでした。

また、一般に、提示命令に対しては即時抗告によって不服を申し立てることができますが、どうやら即時抗告もなされず終いだったようです。

提示命令に従わなかった場合には、後の訴訟で不利に扱われる可能性がありますが(民事訴訟法232条1項、224条1項、3項)、相手方の顧問弁護士は一体どのような意図でこのような対応をしたのでしょうか。

詳細は敢えて書きませんけれども、仮に私が相手方の顧問弁護士であれば、もっとうまい対応をするのになぁと思うところです。

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