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拡張型心筋症(DCM)

拡張型心筋症(DCM)

目下係争中の案件として、消化器症状等を呈して受診した小児の拡張型心筋症を医師が看過し、その後、当該小児が死亡したという事件がある。
そこで、本稿では、拡張型心筋症について医学的知見の概略を記しておく。

病態

心筋症とは、心機能障害を発症した心筋疾患の総称である。

このうち、原因不明のものを特発性心筋症、原因あるいは基礎疾患の明らかなものを続発性心筋症(二次性心筋症)という。

特発型心筋症に分類されるものとして、肥大型心筋症(HCM:原因不明の左室心筋肥大を生じる疾患)、拡張型心筋症(DCM:左室内腔の拡大と収縮能低下を特徴とする疾患)、拘束型心筋症(RCM:心筋の厚さに変化なく、心室壁が硬化して拡張障害を起こす疾患)のほか、不整脈源性右室心筋症、孤立性心筋緻密化障害などがある。

このうち拡張型心筋症は、心室(特に左室腔)の著明な拡大による心拡大を特徴とする。心筋肥大はあっても軽度である。左室壁厚は正常かやや薄いが、左室腔が拡大するため心重量が増す。病因としては多因子と考えらえれ、既往症としてウイルス性心筋炎の疑われる例もある。約20~35%は家族性であり、遺伝子異常が確認されているものもある。

心筋の収縮不全が基本病態であり、1回拍出量、駆出率は著明に低下する。症状の発現は緩徐であったり、急激であったりするが、最終的には重症の欝血性心不全症状を呈する。また治療抵抗性の不整脈を伴いやすい。経過は一般的に進行性で改善することが少ない。

症状、検査、診断(拡張型心筋症)

症状としては、易疲労感、呼吸困難、胸部圧迫感、動悸などの症状を呈する。
聴診では、奔馬調律(Ⅲ、Ⅳ音)を聴取する。
胸部X線写真では、心陰影の拡大、肺欝血像をみる。
心電図では、心房・心室肥大、ST-Tの変化、異常Q波が出現する。
心エコーでは、左房・左室の著明な拡大、左室駆出率の低下、収縮能の低下をみる。
このような心エコー所見、心電図所見があって、原因不明の場合には、拡張型心筋症を強く疑う。

治療、予後(拡張型心筋症)

治療は、心不全の治療と不整脈の管理が特に重要である。

安静、水分制限など一般的治療な内科的治療に加えて、薬物治療としてβ遮断薬(カルベジロールなど)を中心に、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)内服を併用する。薬物治療が効果のない場合は心臓移植が適応になる。

文献
「小児科学改訂第10版」(文光堂、2011)
「標準小児科学第8版」(医学書院、2013)

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