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胎児仮死・新生児仮死と脳性麻痺

胎児仮死・新生児仮死と脳性麻痺

胎児仮死とは何か。

胎児・胎盤系における呼吸、循環不全を主徴とする症候群のことである。

胎児仮死の原因

母体因子(急性貧血,ショック,母体の脱水,過度の運動,過強陣痛,重症合併症(妊娠中毒症,重症糖尿病,甲状腺機能障害など)),胎盤因子(胎盤機能不全,胎盤早期はく離,胎盤の器質的変化),臍帯因子(臍帯巻絡,真結節,過短,下垂,脱出),胎児因子(子宮内胎児発育遅延(IUGR),溶血性疾患,奇形,胎内感染,胎児回旋異常による胎児頸動脈の圧迫)
等など。

胎児仮死の診断

分娩監視装置における監視(120bpm以下の徐脈や180bpm以上の頻脈の出現)
胎児末梢血pHの低下(7.20以下)。

新生児仮死とは何か。

出生時の呼吸・循環不全を主徴とする症候群である。
死亡を免れても、低酸素性虚血性脳症や脳性麻痺をはじめとする重篤後遺症が残ることがある。

脳性麻痺症候群

脳性麻痺症候群とは、随意運動または姿勢の障害を特徴とし、出生前の発達異常、または周産期もしくは出生後の中枢神経系損傷に起因する、非進行性の症候群である。
胎児仮死の状態で、低酸素性虚血性脳症を発症した場合や新生児仮死を起こした場合、脳性麻痺症候群の後遺症が残る可能性がある。

裁判例

①金沢地裁平成23年5月31日判決

被告が運営する病院の産婦人科にて、原告が新生児重症仮死、低酸素性虚血性脳症の状態で出生したことにつき、原告と原告の両親は医師が分娩監視モニターの装着を継続すべき義務等を怠ったとして損害賠償請求をした事例。

裁判所は、胎児心拍パターンなどの臨床症状をの鑑別診断をするために分娩監視装置を継続的に装着して胎児の状態を確認すべき医療契約上の義務の違反があるとして原告の請求の一部を認容した。

②横浜地裁平成18年7月6日判決(判時1957号91頁)

子宮収縮が開始したことによる胎内低酸素状態が一定時間継続したことにより胎児に脳性麻痺を原因とする障害が生じた事例。

裁判所は、入院直後に徐脈が現れたので、入院から遅くとも2時間余り後には帝王切開を行うべきであったのに、その時点から3時間以上も遅らせた点に医師の注意義務違反を認めた。

③大津地裁平成23年1月13日判決(判タ1353号195頁)

分娩誘発剤を投与した後、胎児心音が急激に低下したので帝王切開により分娩を行ったが、新生児が重度の虚血性低酸素脳症に罹患し、2年4カ月後に死亡した事例。

裁判所は、医師には原告らが主張する、分娩誘発剤の投与に際し分娩監視装置を連続的に装着して分娩監視を行う等の分娩監視義務違反はないとして、病院側の過を否定した。

分娩方法等に関する説明義務について判示した最高裁判例

最判平成17年9月8日(判タ1192号249号等)

胎位が骨盤位であることなどの理由から帝王切開による分娩を希望していた夫婦が、医師の説明を受けて経膣分娩を行ったところ、出生した子が分娩後間もなく死亡した事例。

最高裁は、以下のように述べて、医師の説明義務違反を認めた。

「以上の諸点に照らすと,帝王切開術を希望するという上告人らの申出には医学的知見に照らし相応の理由があったということができるから,被上告人医師は,これに配慮し,上告人らに対し,分娩誘発を開始するまでの間に,胎児のできるだけ新しい推定体重,胎位その他の骨盤位の場合における分娩方法の選択に当たっての重要な判断要素となる事項を挙げて,経膣分娩によるとの方針が相当であるとする理由について具体的に説明するとともに,帝王切開術は移行までに一定の時間を要するから,移行することが相当でないと判断される緊急の事態も生じ得ることなどを告げ,その後,陣痛促進剤の点滴投与を始めるまでには,胎児が複殿位であることも告げて,上告人らが胎児の最新の状態を認識し,経膣分娩の場合の危険性を具体的に理解した上で,被上告人医師の下で経膣分娩を受け入れるか否かについて判断する機会を与えるべき義務があったというべきである。ところが,被上告人医師は,上告人らに対し,一般的な経膣分娩の危険性について一応の説明はしたものの,胎児の最新の状態とこれらに基づく経膣分娩の選択理由を十分に説明しなかった上,もし分娩中に何か起こったらすぐにでも帝王切開術に移れるのだから心配はないなどと異常事態が生じた場合の経膣分娩から帝王切開術への移行について誤解を与えるような説明をしたというのであるから,被上告人医師の上記説明は,上記義務を尽くしたものということはできない。」

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