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脂肪吸引

脂肪吸引

今回は、近ごろ簡単な施術で痩身化が図れるとして広く普及した感がある脂肪吸引にスポットを当ててみます。

かねてより、美容外科医療界において、無駄な脂肪を取り除きたいという特に女性からの要望は強いものがありました。ただ、かつては、美容外科医の多くが脂肪吸引術は循環障害を起こす危険なことという一種の常識を持っていました。

しかし、チューメセント法が開発されたことで、その安全性及び除去効果が高まり、一気に広まったのです。
まず、従来の脂肪吸引がどのような手法を用いていたかというと、脂肪をとりたい部分に、リドカイン等局所麻酔薬とエピネフリン等血管収縮薬を注入すると共に、カニューレという管で脂肪細胞を吸引するものです。リドカインは、痛みを和らげる目的で、エピネフリンは血管を収縮させてダメージを減らし出血等を防止する目的で使用されます。
ただ、この方法では、血管や神経と癒着した脂肪細胞を容易には吸引できず、吸引の際、血管・神経を傷付ける恐れがありました。そこで、上記2薬を生理的食塩水に混ぜた溶液を注入し、脂肪細胞と血管・神経との結び付き、脂肪細胞同士の結び付きを分離させた上で、脂肪細胞を引く脂肪吸引法が出現してきました。これがチューメセント法という手法で、ボディジェットという名で呼ばれることもあります。
簡単に言えば、従来は脂肪細胞を固いままで吸引していたため、周辺組織へのダメージも大きかったところ、生理的食塩水でふやかして脂肪細胞を柔らかくしてから引くことで、ダメージも少なく、吸引効果も上げることに成功したわけです。

そして、上記方法以外にも、様々な工夫を凝らした手法が編み出され、脂肪吸引は今なお発展途上にあると言われています。
例えば、エルコーニアレーザー脂肪吸引といって、低出力レーザーを皮膚上に数分間照射し、脂肪細胞を液化することで、負担なく短時間で吸引する方法があります。また、超音波脂肪吸引といって、超音波の振動を用い、固い脂肪組織を破壊することにより、吸引を容易にする方法もあります。超音波脂肪吸引には、体内式と体外式があり、体内式はカニューレから振動を発する手法であり、体外式は皮膚の外から超音波を照射する手法です。そして、体内式の中でも、近時、注目されている方法にベイザー脂肪吸引があります。これは、脂肪細胞にしか影響しない特殊な超音波(ベイザー波)を照射することで、血管や神経を避けて脂肪のみを選択的に溶解できるため、血管等の組織へのダメージ減少はもちろん、従来、取りにくかった浅い脂肪層や線維化した脂肪も除去可能にさせた手法です。

このように進歩著しい脂肪吸引も、腹部の脂肪吸引の際、腹壁と小腸に穴を開けてしまい、医師が逮捕される事件などを引き起こしており、注意が必要です。脂肪吸引で最も恐いのは脂肪塞栓症かもしれません。脂肪塞栓症とは、血管やリンパ管に流入した脂肪細胞(厳密には脂肪細胞を構成する脂肪滴)が肺動脈を塞栓したり、脳の動脈を塞栓することで、低酸素脳症や意識障害を発生させる疾患です。
更に詳しく説明すると、乱暴なカニューラ操作等により、脂肪細胞(脂肪滴)が血管に入ると、それが血漿リパーゼという酵素の働きで遊離脂肪酸とグリセロールに分解され、遊離脂肪酸は界面活性作用で細胞膜を溶かすため、血漿が血管外にしみ出して肺水腫を引き起こしたり、反対に脂肪滴が破壊された血管内に流入して肺塞栓等を引き起こすという構造です。米国の調査によれば、数は少ないものの脂肪塞栓を発症させて死亡した事例も報告されており、安全性に対する過信盲信は医師サイドも患者サイドも避けなければなりません。

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