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腰椎椎間板ヘルニアとは|症状・診断・治療・医療過誤の過失構成について

腰椎椎間板ヘルニアとは|症状・診断・治療・医療過誤の過失構成について

腰椎椎間板ヘルニアとは何か?

腰椎椎間板ヘルニアとは、椎間円板の変性により、椎間板の中心に位置する髄核が線維輪を穿破して後方へ突出あるいは脱出した状態をいう。

椎間板が隣接する神経根に影響を及ぼすと症状が生じる。

腰椎椎間板ヘルニアの症状

腰椎椎間板ヘルニアを罹患すると、以下のような症状がみられる。
多くの場合、片側性で急性発症する。

① 腰痛
② 坐骨神経痛などの下肢痛
③ 腰から脚先にかけてしびれや痛み
④ 下肢の感覚障害
⑤ 下肢の筋力低下・運動麻痺

神経圧迫の機序

若年:髄核が線維輪を破って脱出
椎間板変性が著しい中高年:髄核に限らず、後方線維輪自体が椎体から剥がれて脱出することがある。

脱出の程度

突出:髄核が後方線維輪を完全に破っていない。
脱出:線維輪又は後従靭帯を破って脊柱管内に出ている。

椎間板ヘルニアの原因

腰仙椎または頸椎領域において変性変化により髄核が線維輪を抜けて突出または破裂し、髄核が後外側または後部から硬膜外腔に脱出することで発症する。

腰椎椎間板ヘルニアの診断方法

診断の中心は以下に挙げた理学的所見、画像所見によるが、的確な問診や神経学的所見等を総合的に考慮して診断される。

理学的所見

下肢伸展挙上試験(ラゼーグテスト)が陽性であることからなされる。

画像所見

画像所見としてはCT検査やCT脊髄造影、MRI検査がある。
MRI検査ではヘルニアの高位や形態・大きさおよび神経圧迫の程度などが描出される。しかし、無症候性のヘルニアの場合もあるので、MRI検査結果と症状の慎重な検討が必要となる。

腰椎椎間板ヘルニアの治療方法

保存療法

多くの場合、安静、投薬、骨盤牽引で症状の改善が得られる。
安静(急性期)、薬物(急性期:解熱鎮痛薬や非ステロイド性抗炎症薬の投与、あるいは筋弛緩薬との併用投与、慢性期や不安症状:トランキライザーや抗うつ薬の投与)、ブロック療法(急性期:激しい疼痛には硬膜外ブロックや抗うつ薬の投与)、体操療法(急性期症状が軽快した後 腰背筋や腹筋の強化により腰部脊柱の支持性の強化を図る)、コルセット(激しい疼痛が軽減したら、症例により軟性コルセットを処方)

神経ブロック療法

疼痛が強い場合、神経伝導路に局所麻酔を施し、痛みの伝達を止める治療法。
神経根ブロック、硬膜外ブロック等がある。

手術療法

保存療法により効果が得られない場合、具体的には1ヶ月以上の保存療法を行っても日常生活に支障をきたす場合には、手術療法によることになる。

手術療法は、後方椎間板ヘルニア摘出術(LOVE法)、内視鏡下ヘルニア摘出術、レーザー治療、経皮的骸核摘出術、脊椎固定術などがある。

術式

1 後方椎間板ヘルニア摘出術(従来型、顕微鏡、内視鏡)
成績は良好だが、5%に再発。
最も一般的。90%内外の有効な治療成績が期待できる確立された手技。椎弓を部分的に切除し、圧迫されている神経痕を排除して、ヘルニア腫瘤を摘出する。変形髄核を切除することも多い。
本件=内視鏡手術(MED法)
全身麻酔下で背中を16mm切開し、筋肉を開き金属製の管を背骨まで挿入。管内に内視鏡を差し込み、椎弓に作業のため小さな穴を開け黄色靭帯を切除して患部に到達。テレビモニターで確認しながら鉗子でヘルニアを切除。

2 経皮的髄核摘出術
3 脊椎固定
4 前方椎間板切除術

術後管理

術後は、頻繁に神経症状を観察し術前の神経所見と対比することが不可欠
手術が直接の原因である場合が少なくないが、非手術部での合併症も生じる。
術後、例え画像所見で明白な圧迫病変が認められなくても、重度(筋力3未満の高度の筋力低下など)の麻痺が存在するか、術前よりも下肢痛が悪化した場合には、基本的に再手術。術後に麻痺や下肢痛が新たに出現するか、悪化した場合は基本的には再手術の必要性を十分に話し合い、再手術の時期を逸しないようにする必要。

対処方法
・痛みを伴った軽度の筋力低下や知覚障害
⇒安静を指示すると比較的改善

・中程度の筋力低下は術後2週間以内を目標に再手術で障害神経痕を確認
⇒大切なことは知覚・筋力・反射など神経学的所見の頻回な観察
筋力3未満の筋力低下が出現した場合、より迅速な対処要求される。
MRI検査で硬膜外血腫の存在を除外できればミエログラフィーとCTミエログラフィーを実施する。麻痺を説明できる病変が確認されれば再手術の準備、確認されなくても患者の了承あれば再手術。

腰椎椎間板において考えられる過失の構成

手術の適応判断ミス、説明義務違反、手技上のミスがあります。

説明義務違反の裁判例(最判平成13年11月27日)

医師は、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明すべき義務がある。

手技上のミス

脊椎手術後の神経症状の悪化
腰椎手術の合併症
合併症調査 :328例中神経合併症は10例(3%)(神経痕症状9例(2.7%)、馬尾症状1例(0.3%))障害神経痕は、L4/5レベル術後のL5痕症状が6例と最多。
術式 後方侵入腰椎椎体間固定術(PLIF)9例 開窓術1例

手術直後に起こった特定の神経痕由来の麻痺
=多くは、神経痕の過牽引など術中の操作によるもの。

術後数日してからの神経痕症状
=出現の原因は様々
最も考えられる原因は血腫
再手術における術中所見からはそれ以外にも神経痕の腫脹や局所止血剤など
術中に止血目的で使用したアビテンが膨隆して神経痕を圧迫していた症例も。
原因再手術で確認。

なお、仮に取り残しがあっても痛みが強くなることはない(損害全体につながらない)。

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